みるきぃはうす

ダビスタ99の攻略や、かつてニコニコ生放送で開いていたBC「みるきぃ杯」の情報があります。レトロゲーム大会の話も多め。

不正タイマー事件の真相

今から書くことはかつてニコニコ生放送(以下、ニコ生)の一部界隈で行われていたレトロゲーム大会であった話です。当該コミュなど一部で事件があったことは知られているものの、詳細は本当に一部の人しか把握してないので話のネタにここで纏めてみようと思いました。

事件とかなんだか物々しいタイトルですが、内容は当時から笑い話として扱われているものなので肩肘張らず読んでいただければいいかなと。なお、当事者達からは許可を取った上で執筆しております。ご了承ください。

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この話があったのは5年ほど前のこと。当時はニコ生のレトロゲーム好きが集まって行われるゲーム大会が頻繁に行われており、私自身積極的にこの手の大会に参加していました。

その大会はH氏のコミュニティ5周年を記念したもので、いろんな方面で顔の広い主催さんの大会ということで40名近い参加者が集まり大盛況で終了したのですが、問題が発生したのはその1ヶ月ぐらい後のこと。

ニコ生をよく見ている方には周知のことだと思いますが、ニコ生は有料のプレミアムアカウントでも1週間しか録画放送(タイムシフト)を見ることが出来ません。ところが数十名分のプレイを全部見たいとなるととてもじゃないけど1週間で見るのは無理。なので私は全員分の放送を消える前に予め保存しておき、後でじっくり見るという手法を取っていました。この大会も同じように保存、毎日じっくり見ていたのですが、とある参加者さん(以下、G氏)のプレイに「ん?」となったのです。

その大会は6つの部門に分かれていたのですが、そのうちの1つ「スターソルジャー5分スコアアタック」は私が一番力を入れていた部門でした。というのもこの部門、連射機能付きコントローラの使用可だったのですが、連射機能を使わず手連でプレイした場合は取得スコアに10万点を追加する特殊ルールが採用されていたのです。私は手連に少々自信があったのでここで少し良いところを見せたいなと思い練習を重ね、大会本番でも3位という好結果を残しました。それ故この部門は他の参加者のプレイも興味が高く、特にG氏は2位と私より上位の記録だったので注目してました。

しかしながら、そのプレイ内容にどうにも解せない部分が見つかったのです。

 

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ゲームを知らない人に対して説明したいと思うのですが、百聞は一見に如かずということで当時の私の大会動画を貼り付けておきます。本当はもっと上手い人の動画を載せたいのですが勝手に使う訳にも行かないのでご容赦ください。

www.youtube.com

このゲームの稼ぎポイントはいくつかあるのですが、そのうちの一つにステージボスの「スターブレインの速攻撃破」があります。スターブレイン戦中は稼ぐ要素がまったくないもの理由ですが、5分ルールだと3面最後の地上物(デライラ)を左右同時に倒す8万点ボーナスを取得するにはここで早く倒さないと時間的に間に合わないんですよね。しかも普通に連射してるだけでは無理というのも厄介。それこそ高橋名人ほどの連射力があれば話は別ですが、私の連射速度では間に合いません。なので、わざと敵弾を被弾して5方向のショットから3方向にパワーダウンする方法を取っていました。こうすると弾数は減るのですが、前方2ショットをスターブレインに当てることが出来るのでその分早く倒すことが出来るのです。動画の3:17辺りを見てもらえるとわざと被弾してるのが解ると思います。ただそれでも最後の8万点は時間内かどうか微妙なレベルでした。

ただG氏の動画を見ると私と同じ手連なのに5方向ショットのままでスターブレインを破壊している。手練の速度は私と大差ないようでその分撃破に時間が掛かっているのですが、それにも関わらず最後のデライラが余裕で間に合っているんですよね。それ以外に時間を詰めるところがあるのかと思って動画を見直してみるもそもそもがスターブレイン戦以外は自動スクロールのシューティング。詰めるところなんてあるわけがない。

どうにもわからなくなったのでとりあえず私のプレイ動画と2つ並べてみてみることに。こうするとはっきり解るのだが1面、2面と間違いなく私のほうが早く撃破している。そして、問題なく5分が終了……

 ってちょっと待て、なんでG氏の動画はまだ続いているんだ?(◎-◎;) 

時間を合わせて再生してるのだから同時に終わるはず。これはどういうことなのか? もう一度頭から再生。すると不思議なことに気がづきました。放送画面に載っている私のタイマーとG氏のタイマーを見比べていると最初は同時にカウントダウンされているのにそのカウントが気がついたら交互になっているんですよね。そしてしばらくするとまた同時に……信号待ちしている周期の違うバイクのウインカー音が揃ったりずれたりするかのように。そしてよく見ると同じ時間を示しているはずのタイムが数秒ずれている。

 これ、もしかしてG氏のタイマー、カウントが遅い?(・_・;)

もっとわかりやすいように自前のタイマーをG氏の動画のタイマーの真上に置いてカウント。するとはっきりとずれていくのがわかりました。1分間でおよそ1秒……ってなんだこれ? こんな事ありえるのか。

もしやと思い動画を漁ってみたのですが、G氏は過去に参加した大会でずっと同じタイマーを使っており、同様に1分に1秒ぐらい遅くカウントされていました。中には30分の部門で30秒近くも遅れているパターンもスターソルジャーのような5分程度の部門でも有利に働く事があるわけで、その恩恵は計り知れない。

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最初これに気づいたとき不正行為を疑いました。というのもこの界隈ではこの少し前に裏でプレイした動画と差し替える不正を行った輩がいてその関係でピリピリしていた部分があったのです。その輩は運要素の強い部門であり得ないレベルの好記録を連発したがゆえに一部参加者から怪しまれ、動画を解析された結果ほぼ黒判定を受け運営側も対策、それに対応しきれず色々ボロを出し最終的にはコミュニティを削除し逃走しました。まあこの話も今後大会運営を企画する人のために残しておくべき話なのかもしれませんが、私自身動画解析など少々手伝った程度にしか知らないのでより詳しい人に執筆を任せたいと思います。

ただ今回の話はこれとはちょっと違う気がしました。そもそも意図的にタイマーを遅く動かすことが出来るのかという疑問があるのですが、技術的に可能でG氏が出来たとするのならなぜタイマーだけなのかと。というのもG氏はタイムアタックに必要なストップウォッチは別のツールを使っており、そちらは正しい時間を計測しているんですよね。まあ単純に技術的に片方しかできなかったという可能性もありますが……。

あと、動画の差し替えだと精巧にやられると気づかない可能性はありますが、スターソルジャーのように本来不可能なものが出来たりした場合、他のタイマーと比べられたら速攻でバレる危険性がつきまといます。その割には当日そのプラスの数秒間を活用できるのレベルのプレイが出来ないと無意味になる可能性が高く、リスクの割にあっていない不正方法かと。というか、記憶にある限り過去の練習放送でも同じタイマーを使っていたはず。使えば使うほど危険性は高まるので私なら練習では使わないし、そこまでして勝ちたいのなら他者に情報を与える練習放送自体しないかと。

そもそもG氏は何が何でも優勝と目の色を変えてやるタイプではなく、数年続けてた週末の放送ネタとしてリスナーとああしたらこうしたらとか言いながら練習してるイメージがありました。良い記録が残せなくても「やっぱだめだったねえ」とか言いながらWebカメラ越しにニコニコしているような。「俺が出てたら優勝してた」とか参加してない大会の話していたらしい先述の輩とは全く違う。小細工をしてリスナーに冗談で「不正」と言われることはあっても、実際に不正するイメージは全くありませんでした。

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不正でないのならタイマー自体の不具合である可能性が高い。直接不正を指摘するわけには行かないが、トラブルであれば何ら問題はないだろうと思い、最初は直接連絡しようかなと思いました。ただ、よくよく考えるとちょっと私からは言いにくい事情が。

これを指摘された場合、おそらくG氏は気を使って記録抹消とかを申し出るはず。まあ間に合ってないと判断して最後のデライラ8万点だけをマイナスした記録に変更してもらうというパターンも考えられるか。ただどっちにしても『一番得をするのは私』なのです。先述した通りスターソルジャー部門の記録はG氏が2位、私が3位。得点差は2万程度で記録抹消はもちろん、得点をマイナスしても私が2位に繰り上がる。私が上位だったのならともかく、得をする話を本人が言うのは流石に嫌らしいのではと。

個人的には1ヶ月前の大会の順位が今更1つ変わった程度大した話ではないのです。こういうのは当日の表彰式で盛り上がってるところでの順位が大事で、オリンピックとかでも後からドーピングで繰り上がり金とか見掛けますが正直嬉しさ半分といったところなんじゃないかなと。個人運営のゲーム大会と数十年掛けて目指したスポーツのメダルの話を一緒にするなと怒られそうですが、似通ったところはあるはず。
そもそも繰り上がったところで1位ですらないのだから余計にそれに関してはどうでもよかったですね。

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まあこの辺自分だったどうするかは人によって判断変わるかもしれませんが、私は直接連絡するのは良しとせず大会主催者だったH氏に相談することにしました。H氏は主催者だったというのもあったのですが、以前に先述の動画差し替えの件で色々話をしていたのでこの手の話をしやすいという部分もありました。とりあえずカウントダウンのタイマーだけが遅れてること。恐らく本人も気づいてない不具合であること。大会の記録に関しては変更とかは望んでいないことを伝達。話を聞いたH氏も不正の線はないだろうという回答。

ただ問題は今後の大会の話。何も連絡がなければG氏はそのまま同じタイマーを使うはず。そうなるとまた有利に働く可能性があるのでそれは変更してもらわないといけない。この時点ですでにM氏のファミコン大会が発表されており、G氏がその大会に参加することは濃厚だったのでそれまでに変更してもらうよう、H氏がそれとなく伝えてくれることとなりました。これで特に表に出回ることなく話が終了

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……とならないんですよね。

H氏とのやり取りから約2ヶ月後。M氏の大会の1週間ほど前の話。この頃は他の参加者さんの練習放送を見ると影響を受けるからという理由であまり色々見に行かないようにしていたのですが、ちゃんとタイマー別のに替わってるかは確認しておきたくG氏の練習放送もそこのチェックだけはしていたのです。ところがその放送ではタイマーが必要になる部門の練習をしておらず、不安になったのでH氏に伝えてくれたかどうかを確認しました。H氏はすでにやり取りした後だったようで「しっかり伝わっている」との回答があり一安心。

そして一週間後の大会前日の深夜。先週と同じようにG氏が練習放送をやっていたので念のため枠を開いたのですが、今度はタイマー使う部門の練習をしている。よしよしこれでちゃんと替えるくれてるか確認できなるなと。

 って、タイマー前のままじゃね?(・。・;

どう見ても私が動画で何度も確認したタイマーがいつもの位置に鎮座している。伝わっていたんじゃないのかと戸惑っているとコメント欄にH氏がいるのを見かけたので慌ててDMにて連絡。そのH氏も「しっかり送ったんだけどなぁ~」と困惑している模様。先にタイマーがちゃんと動いてるか確認していたようだが案の定遅れているようだ。私も放送と自分のタイマーを合わせてみるが以前の大会動画同様遅れていく。

H氏が先日送ったというDMの内容をスクショで何枚か送って来てくれたのだが、そこにはタイマーが遅いという指摘があったこと、不正を疑うつもりはないが有利に働いている事などしっかり明記されており、どうしてこれで伝わっていないのが謎状態。ただ、G氏もスルーしているわけではないものの、返信が不具合のことに一切触れておらず別のタイマー探してみますみたいな内容なのが少し気になるが……。とにかく明日のM氏の大会本番には別のタイマーに変更してもらわなくてはいけない。とりあえずM氏をDM会話に呼び出し3人で対策を考えましょうということに。

そうして急遽呼び出されたM氏。すでにH氏からある程度の事情は聞いていたようだが、そこから意外な情報が。なんと正体不明だったG氏のタイマーと同じものを先日導入したばかりだというではありませんか。正体がわからないからチェックしようがないので困っていたところにまさに渡りに船って感じ。だが、M氏の環境ではちゃんと動いているらしい。まあ普通に考えてタイマーアプリなんてWindowsの内部時間を読み取ってるだけなのでそうそうずれるわけがないと思いつつダウンロードしたタイマーを実行。当然のごとく正しい時間を刻み……

 いやこれずれてるよね?(;・∀・) 

特になにもいじっていない。ただ、起動したアプリの時間を設定してスタートを押しただけだ。なのに、他のタイマーと合わせると間違いなくずれている。そのずれ方はG氏の放送で見たのと全く同じ。これではっきりしたのはG氏が『特定環境化でずれるタイマー』を使っていたということだ。元々疑ってはいなかったが不正の可能性はほぼなくなったと言っていいだろう。

後の問題は今一度G氏に伝えないといけないことだが、これも素早くM氏がDM送ってまだ練習放送中だったG氏に放送で見てくださいとコメントを入れ解決。ついでに私が使っているタイマーならG氏の環境でもずれないだろうとそちらのURLも伝えてもらい解散。翌日の大会でG氏はちゃんと変更されたタイマーでプレイしておりました。

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これが不正タイマー事件の裏側であった話の全貌です。3人で会話した時に私の環境がWindows7であるのに対しH氏、M氏がWindows10なのは確認していたのですが、後でサブで使っているWindows10のノートPCでも確認したところそちらでも正しく動いていたので恐らくWindows7そのものか、Windows7に何らかのランタイムが入ってる(もしくは不足している)のが原因じゃないかなと。後に聞いたところ当時のG氏の放送環境もWindows7だったらしく条件は合致してますね。アプリの説明には対応機種にWindows7も含まれていたのですが、所詮フリーソフトだからなあ。

しかしフリーソフトとは言えただ時間を計測するだけのアプリの時間がずれてるとは普通思わないですよね。もしかしたら私の知らない大会とかでも誰も気づいてないだけで計測が遅いタイマーの影響とかあったりするのかも……。この記事を見た人は一度自分がよく使ってるタイマーアプリが正確な時間を刻んでいるのか、一度確認してみるのもいいいかもしれませんね。

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ところで、ここまで書いて謎なことが一つ。それはG氏がなぜ指摘があった後も同じタイマーを使っていたのかということ。これに関しては私自身当時のDMを読み返しても内容を勘違いするようなものには見えずどうにも腑に落ちなかったので、思い切ってG氏本人に直接聞いてみました。

それでわかったことは、元来H氏が送ったDMには私が見せてもらったスクリーンショットに載っていなかった画像が複数挟まれていたこと。それは以前の大会のG氏と他参加者との時間のズレを示すものだったそうなのだが、その画像で先に送られたメッセージが画面上部に隠れてしまったゆえに不具合の指摘部分をまるまる読んでおらず、「いろんなタイマーあるから他参加者が使ってるのを参考にしてね」っていう話と勘違いしたというのが真相だったそうです。たしかにTwitterのDMは画像が大きく表示されて、横長のディスプレイでみているとそれだけで上部の文字が消えてしまうこともあるのでそういう事が起こりうるのも納得なのですが、そもそもずれるタイマーなんてものが出てくること自体珍事なのにそんなことまで重なってしまうのがこの事件の面白いところか。

ちなみにこの話、せっかく直接聞いたのですが、改めて保存してあったG氏の大会当日の動画を確認したところ冒頭で全く同じことをリスナーに向けて説明しておりました。そもそも内々で済ましていい話をリスナーに説明するのは真面目なG氏らしいとは思いますが、いつリスナーに話したのかは当時から気になっていたんですよね。というか、当時この動画を私自身見てなかったんだなと。冒頭で話した通り自分が参加した大会の他参加者の動画は全部見ているはずなのですが……。

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しかし、こうやって纏めてみるとほんといろんなパーツが絶妙に組み合わさって話が出来上がったんだなとしみじみ。

いろんなifを考えた時に特に重要だと思ったのは、G氏がH氏からのDMを見てその時点でタイマーを変更していたらという部分。この場合、M氏は話に加わらないことになるのですが、どのタイマーなのかを教えてくれたのはM氏なので、『よくわからないけどG氏がなんかカウントが遅いタイマーを使ってた話』で終わっていた可能性もあるわけで、そうなるとあまりいいイメージを持たない人も出てきそうだ。まあG氏から使っているタイマーを聞き出す、G氏がリスナー協力のもと検証を行い正体が判明するなど結局解決するパターンもあるとは思うが、そもそも私がWindows7を使っていなければ特定環境下で起こる不具合ともわからなかったわけだし、もっと言えば普段あまり練習をやらない私が気まぐれで上位目指してなければ動画を見てもおかしい部分に気づかなかったかもしれない。そうなるとG氏はその後もこのタイマーを使い続けていたわけでさらに話がややこしいことになっていたかも。そういう意味では最終的には笑い話で終わって良かったのかなと。

今となってはブログサイトが閉鎖し、結果どころか大会の存在すら禄に情報が残ってない個人運営大会の話。大会を知っている人はもちろん、知らない人も楽しめるような文章になっていれば良いのですが……。とりあえずこの辺で話を終わらせておきますね。